2015年8月27日
持続可能性

2050年に残る会社、消える会社

 こんにちは、レスポンスアビリティの足立です。前回の記事「なぜ私たちの生活は苦しいままなのか? その原因は○○にあった!」で、フロー型社会をやめてストック型社会にすれば、私たちの生活にも余裕ができるし、環境的に考えても持続可能になるので一石二鳥だということをお話ししました。

 実際には難しいと思われるかもしれませんが、実はこの流れはもう始まっています。しかも、国がオーソライズしてです。

実は先進的だった(!?)福田ビジョン

 2007年9月に発足した福田内閣は、まさにこの「ストック型社会への転換
」を政策の一つに挙げ、その一環として「200年住宅構想」が検討されました。そして、2050年までに温暖化ガスの排出量を少なくとも半減するという当時としては非常に大胆な「クールアース推進構想」を掲げましたが、2008年6月9日にはこれをさらに進めて、2050年までに温暖化ガスを60~80%削減するという「福田ビジョン」を発表しました。

 そのための方策の一つとして長寿命住宅の普及促進も挙げられており、実際にその翌年の2009年6月には「長期優良住宅普及促進法」が施行となったのです。

長寿命住宅とは?

 この法律では、住宅の構造躯体が少なくとも100年程度は使用できることを目指し、そのために耐振性や維持管理の容易性はもちろん、ライフスタイルなどの変化に応じて間取りが変更できるようにという点まで求めています。これまでの住宅に対する考え方や公的要求とは大きく違うことがわかりますね。

 ここまで読むと、そういえば「長寿命住宅」とか、「100年住宅」という言葉を聞いたことがあるなと思い出された方もいらっしゃるかもしれませんね。もちろんこれ以前から同様の考え方を主張していた住宅メーカーもありました。それでも、こうした動きが全国で本格化したのは福田内閣以降のことなのです。

 住宅の寿命が30年程度から100年以上に一気に3倍に伸びることは、長期的には住宅メーカーに対しては大激震になることは間違いありません。しかし、その本格的な影響が出てくるのは、2009年ぐらいに建てられた住宅がこれまでの寿命を迎える頃、つまり2040年ぐらいでしょうから、まだかなり先とは言えます。

2040年、住宅メーカはどうなるのか?

 そうは言っても、今から25年先ということとは、今春住宅メーカーに入社した新入社員の方々にとっては、40代後半の働き盛りの時期にあたります。日本の新設住宅着工戸数は1996年以降、つまりこの20年間もう減少を続けていますが、それが今後さらに加速する可能性が高いということです。

ちなみに1996年の新設住宅着工戸数は163万戸だったのに対して、昨年2014年消費税導入の影響もあって88万戸と約半分の規模になっています。ですので、住宅メーカーは既に真剣に生き残り策を考えているはずです。もう昔のやり方を続けていたのではビジネスを続けていくことは難しいのですから…

 「10年後、20年後に残る仕事、消える仕事」というのが最近話題になりますが、それだけではなくて、「10年後に残る会社、消える会社」ということも考えた方がいいのかもしれません。なんだか憂鬱になるなという声も聞こえてきそうですが、今回ぜひ読んでいただきたいのはこの先です。

時代の変化を先読みする

 こうした変化は、住宅メーカーにだけ当てはまるものではありません。残念ながら、時代の流れとともに、消える会社や消える仕事が一定の割合で出てくるのは事実です。社会が変化する速度が増すにつれ、会社や職業の寿命もさらに短くなってきているかもしれません。そのこと自体をコントロールすることはできないでしょう。しかしだから言って、私たちになす術がないわけではありません。

 私たちにとって幸いなことの一つは、こうした変化はある日突然起きるわけではないということです。何年から、十年、二十年という時間をかけて、じわりじわりと起きていくのです。ということは、注意していればその変化に気付くこともできるでしょう。

 いえ、実は実際には起きる前にすらわかる場合も多いのです。これから世の中がどう変化していくのか、変化せざるを得ないのか。それを考えれば、5年、10年、20年、こうした長い期間の中で起きる産業構造の変化もある程度予測ができるのです。

時代の流れを予測するには…

 「え、でもどうやって?」 実はそのときにも役立つのがサステナビリティの考え方です。長くなりましたので、続きはまた次回…
 
 
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