2015年9月11日
アジアのCSR

アジアの社会起業家に共通する精神とは!?

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 前回の記事「バンコクで聞くアジアのCSR最新事情」で書いたように、AFCSRには東南アジアや南アジアのCSR関係者が集まっているのにも関わらず、SDGsについて言及する方が少ないのはちょっと驚きでした。「なんだ、SDGsはあまり影響力がないのか」、しかし、そう考えるのは早計です。むしろ今回のフォーラムでも、SDGsの17の目標に関連する話はた~くさんあるのです。というか、ほとんどそればかりと言ってもいいかもしれません。

 ではなぜSDGsという言葉が出てこないのかと言えば、目の前にある一つひとつの目標に焦点を絞って既に実際に活動をしている方々ばかりだからなのかもしれません。

 つまり、わざわざSDGsを見て、そういえばこんな問題があるよね、こんな課題も取り組まなくちゃね、と気付く必要がなく、自分の目の前に具体的な課題があるのでまずはそれに取り組んでいる、そういう実務的な方が集まっていることなのでしょう。

 参考のため、それではどんな課題について取り組んでいる団体や企業が多いかと言うと…

貧困、食料・栄養改善、健康・医療、教育、女性、水・衛生、エネルギー、雇用・経済発展、イノベーション・インフラ… あらら、これってみんなSDGsの目標ですね(笑) つまりは、そういうことなのです。

 ですから、たとえSDGsという言葉は使っていなくても、やはりSDGsが課題設定として非常に重要かつ有用であることは間違いありません。むしろそれを私はそのことを現場で再確認したと思っています。

若い社会起業家が大活躍

 それ以外に今回のフォーラムの特徴はと言うと、一つは「社会起業家」や「社会的企業」に焦点をしぼったので、若いスピーカーが多かったということです。

 どこの世界でも新しい発想で、今までになかったことを始めるのは、やはり若い人たちなのですね。もちろん中には少しお年を召した社会起業家(かつての若い社会起業家!)もいらっしゃいますし、あるいはエスタブリッシュされた企業が支援をしているという場合もあります(ちなみにこのフォーラムには、財閥系企業のトップや役員の方なども多数参加なさっています)。

 さらにびっくりしたのは、有名な社会起業家のお子さんが新しく自分で起業したという例もありました。社会的起業は一時的な流行ではなく、もうしっかりと一つのビジネスのあり方として根付いているということなのでしょう。ニーズが存在する東南アジアにおいては、特にそうなのです。

 一方で、こうした若い世代に馴染みがあり、また社会的起業をより簡単に、あるいはより影響力のあるものにしているのはITの力です。

社会起業家を支えるITの力

 なにしろ、講演を聞きながらこの会社はおもしろいなと思うと、その場でスマホやタブレットで検索すれば、すぐにそこのwebにたどり着けて、詳しい情報にアクセスできる。そういう時代ですからね。

 こうしたwebは、現地語で作られている場合もありますが、多くの場合、英語も用意されています。なので、ローカルに始めた活動であっても、すぐに世界中に知られるようになりますし、どんどん世界に広げることもできるのです。

 もちろんITの利用はwebに留まりません。講演内容をリアルタイムでtweetする参加者もいますし、知りあった方々とはLinkedInでどんどんつながっていけます。

 フォーラムの運営でも、プレナリーでは投票デバイスを使って会場の意見を聴きながら議論を進めたり(トップの写真がその様子です)、スマホのアプリを使って質問ができたり… あ、もちろんプログラムもスマホからアクセスできました。

 このスマホのアプリ化されたプログラムは思いのほか便利でした。わざわざカバンの中から分厚いプログラムを出さなくても、立ったまま片手でプログラムを探せますし、講演者のプロフィールも簡単に検索できたりします。そしてもちろん、紙の使用量が大幅に減るという効果も見逃せません。

マイ・ペンライの精神で!

 こういう話をすると、スマホやタブレットを持っていない参加者はどうするんだ? もしアプリが壊れたらどうするんだ? 誰が責任を取るんだ!? 日本だったらすぐにそういう心配が出てくるでしょう。

 もっともです。紙の方がいいという方もいますし、アプリがうまく動かなくなることもあるかもしれません。なので、それはそれで対応をするのです。すべて100%完璧であることが確認できてから移行するのではなくて、良さそうだと思ったらさっさと試してみる。

 もしかしたら予想しなかった問題もあるかもしれないけれど、その時はその時で対策を考える。本当にダメだったら、元のやり方に戻ればいい。そういうeasy goingな雰囲気が、東南アジアらしいと言ってもいいかもしれませんが、私は結構好きです。

 ちなみに、今回のホスト国であったタイには、タイ人気質を表すと言われる有名な言葉、マイ・ペンライがあります。英語で言えば、Don’t mind、つまり気にするな、問題ない、大丈夫というような意味で、いたるところで聞かれます。

 おもしろいことに似た表現は他の国にもあって、例えばお隣のマレーシアでは、ティダ・アパ・アパと言います。私もマレーシアで暮らしているときによく耳にしました。日本人としては初めはちょっと面食らうのですが、慣れてくるとこの自然体がだんだん心地よくなってきます。

 そして何より、「良いと思ったらとにかくやってみよう」、「まずは行動だ」という精神が、社会起業家にもとても似合うようにも思いました。なにしろ、普通に考えたら不可能なことに、今まで誰もやらなかったことに、果敢に挑戦するのです。完璧を求めるのではなく、走りながら考え、どんどんと改良していく。そういう逞しさが、いろいろな方の話の中に感じられました。

 そして何より聞いていて嬉しくなるのは、ここに集まった誰もが「この世界をもっと良いものにしよう」と本気で考え、それができると信じ、チャレンジを続けていることです。

 「そんなの無理じゃない?」とか、「でも…」と言う人はいません。それが必要だ、やろう、と思ったら、後はどうやったらできるかを考える、それだけなのです。もう本当にストレート一本、常に直球勝負なのです。

 今朝タイから帰国したのですが、今週一週間にいろいろな方に出会ったり、刺激的な話を聞いたせいか、どうも私の頭の中もまだずいぶんとその熱に浮かされているようです(笑) でもこういう互いの熱に浮かされたようなところから、きっと新しいアイディアや行動が生まれてくるんんだろうな、そんな風にも思います。

 今回のフォーラム、結局日本からの参加者は私一人だけだったようです。来年、ミャンマーでの大会には、この記事を読んでおもしろそうだと思った方が何人も参加してくださることを期待しています。来年のカレンダーの9月20~21日には、今からマルを付けておいてくださいね!

 
 
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