2015年2月25日
CSRファイル

認証原材料は生物資源に限りません!

 こんにちは、レスポンスアビリティの足立です。

 私たちのところには生物多様性についてのご相談が多いのですが、一方で、「生物多様性について何かやらなくてはいけないのではないかと思うけれど、原材料に生物を使っているわけでもないし…」というご相談もよくうかがいます。

 たしかに生物資源を使う食品や住宅、家具などの産業であれば、生物多様性がないことには事業そのものが進みません。なので、生物多様性に配慮した原材料、特に認証原材料を使う動きが加速しています。

 一方で、生物資源を使わない産業では、自分たちが使う原材料ではそんな認証制度はないから… というわけですが、本当でしょうか?

 実はそう簡単には言い切れないようになってきたことが、今回の「CSRファイル」をお読みいただければわかるはずです。

《CSRファイル》#006

「認証制度は鉱物にも広がる」

              レスポンスアビリティ  武末克久

 生物多様性に配慮した持続可能な原材料調達の話をすると、電子機器
メーカーや素材メーカー等の方から「生物資源を取り扱っている食品企
業にとってとても重要だというのはわかるが、私たちとの関係性は小さ
い。そういうこともあって、現時点では持続可能な原材料調達の優先順
位は社内ではあまり高くありません。」という声を、多く聞きます。し
かし、本当にそれでいいのでしょうか?

 皆さんもよくご存知の宝飾品ブランドのティファニーは、同社の事業
に関連する環境および社会的な影響の中で鉱山開発によるものが最も重
要であると認識し、課題解決のための取り組みを積極的に進めていま
す。それは、鉱山開発の現場やその周辺で大規模な環境破壊が行われ、
人権侵害など多くの社会的な問題が頻発しているからです。

 8月に公開した “2013 Corporate Responsibility Report”でティフ
ァニーは、同社が使用するダイヤモンドの100%、貴金属については
98%のトレーサビリティが鉱山もしくはリサイクル業者まで確保されて
いるとしています。さらにティファニーは、持続可能な鉱物に関する国
際的な認証制度の開発に積極的に関わっています。

 持続可能な鉱物に関する国際的な認証制度は、Initiative for
Responsible Mining Assurance (IRMA)
によって開発が進められてい
ますが、ティファニーはこのIRMAの創設メンバーの1つです。IRMAは
すでに認証基準のドラフトを公開しており、現在パブリックコメントを
募集しています。そして、2015年には認証制度を開始する予定として
います。

 IRMAの他にはAluminum Stewardship Initiative(ASI)が持続可能
なアルミニウムの認証制度の開発を進めています。ASIの認証基準(ド
ラフト)に対するパブリックコメントは先月(2014年9月)終了しまし
た。ASIは集まったパブリックコメントを反映させて、2014年末には認
証基準を公開するとしています。

 以上のような持続可能な鉱物に関する認証制度が整備されると、FSC
認証の紙や木材、RSPO認証のパーム油、MSC/ASC認証の水産物など
と同じように、認証鉱物が流通するようになります。そうなると、鉱物
を原材料に使用する企業にとっても持続可能な原材料調達がぐっと身近
になるで
しょう。そして、自社のサプライチェーンマネージメントを強
化しつつ、持続可能性に取り組む姿勢をアピールするチャンスが広がる
ことになります。

 早ければ来年の今頃には、そのような状況になるのです。持続可能な
原材料調達は、生物資源を取り扱っている企業だけが取り組んでいれば
良いものでは決してないのです。

初出:2014年10月10日発行 サステナブルCSRレター No.198

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