こんにちは、レスポンスアビリティの足立です。CSR Asia Summitのことをもう少し詳しくご紹介しようと思いながら時間が経ってしまいました。すみません。
こういうイベントに参加すると何がいいのかということについて、ビデオでも紹介していますので、ご覧ください。
ビデオの中でもお話ししているように、私はこういうイベントに参加する一番のメリットは、この世界で活躍している人とネットワークを作れることだと思います。
そして、会議やイベントの度に、世界中の友人と再会するのはとても楽しいものです。今回もそんな再会がありました。今日はそんな友人の一人、ステファン・ファンを紹介したいと思います。
ステファンは、Diverseyというアメリカの持続可能な(!)清掃サービス会社に勤めるシンガポーリアンです。本拠はシンガポールなのですが、日本を含め、アジア中を商圏としていて、各地のホテルに洗剤や清掃関係の商品・サービスを提供するのが仕事です。
ところが、会うといつも話すのは仕事のことではなく、CSRプロジェクトのことです。シンガポーリアンにありがちな(笑)強烈な早口で、いかにそのプログラムが素晴らしいのかをまくし立てるのです。私が「企業人というより、NGOのキャンペナーのようだね」とからかうと、「こっちの方が楽しいからね」と本人も笑っています。
”Soap for Hope”(希望の石鹸)と名付けられたこのプログラムは、アジア各地の貧困層に収入源をもたらすことを目的としています。
しかし、これは単に貧困をなくすということではありません。最大の目的は、人身売買の被害者をなくすことなのです。
残念ながらアジア各地ではいまだ多くの人身売買が横行しており、貧困地域の女性や子どもがその被害者です。
売買には暴力団なども絡んでいるのですが、彼に言わせれば、被害者を取り戻すのは難しくないそうです。もちろん危険はあるのですが、それでも被害者を奪い返すことはできる。問題は、その後なのだそうです。
つまり、そうした被害者を連れ戻しても、収入源がなければまた同じことが起きてしまうのです。その収入源を生むことの方が、貧困をなくすことの方が、はるかに難しいとステファンはいいます。
洗剤会社がどうやって?
「でも、ちょっと待ってくれ。洗剤会社がどうやって貧困を削減できるというんだ?」
当然、そういう質問が出てきますよね。
どうやったらこの難しい問題の解決に協力できるのか? ステファンも悩んだと思います。そして思いついたのです。
多くのホテルが宿泊客に石鹸を用意しています。しかし、その石鹸はほとんど使われずに、捨てられてしまっています。彼はこれに着目しました。
使われなかった石鹸を回収して、再生して売れば、収入源になる! ホテルからの回収であれば、自分たちができると考えたのです。
もちろん、実際にはこれは簡単なことではありませんでした。たしかに石鹸を回収するところまではできるのですが、これを再生しなくてはいけないからです。
ここで特別な装置や危険な化学薬品が必要になったのでは、貧困地域の人々には手も足も出ません。なので、こうした複雑なプロセスや専門的な知識なしに、簡単に再生できるような仕組みを作らなくてはいけなかったのです。
実際にどうやって石鹸を再生しているかは、動画の方がわかりやすいと思いますので、ぜひ以下のビデオでご覧ください。ビデオの冒頭で年輩の白人に説明をしているやや長髪の東洋人がステファンです。
いかがでしたでしょうか?
地域の重要な問題を、企業の力で解決する。単にお金を出すということではなく、人的パワーやビジネス上のネットワーク、そこで培われた経験… そうした総合力で、行政をはじめとする他のセクターではなしとげられないようなことができる好例だと思います。
これは社会貢献プログラムではない!
そしてステファンが強調していたのは、これは社会貢献プログラムではなくて、永続的なプログラムだということです。なぜなら彼らがホテルを対象にビジネスを続けている限り、そしてホテルで毎日大量の石鹸が廃棄され続ける限り、このプログラムを続けることができます。
しかも、このやり方を知ってもらえれば、他の団体でも同じような活動を行なうことができます。つまり、スケールアップ(規模の拡大)もできるのです。この点でも、決められた予算を使って、一箇所かせいぜい数カ所でしか行なえない社会貢献プログラムとは大きく異なります。
こういう話を直接聞いて刺激を受けることができる、それがこういう会議に参加する醍醐味の一つです。
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