2015年7月15日
欧州ここだけの話

あなたも奴隷を使っている!?

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こんにちは、レスポンスアビリティの足立です。

「奴隷」という言葉を聞くと、あなたはどんなことを思い浮かべるでしょうか? アメリカに連れて来られた黒人、それともローマ時代のそれでしょうか?

しかし、実は今この瞬間にも世界には奴隷が存在するのです。しかも、その数は3580万人!にも上るというから驚きです。中には年端のゆかない子どもの奴隷もいます

そしてさらに憂慮すべきことは、私たちの豊かな生活がそうした人々の苦労の上に成り立っていたり、あなたの会社が間接的に奴隷労働に加担したりしているということです。

最初に「奴隷」という言葉を聞いたとき、きっとあなたは嫌なイメージを持ったはずです。そして、「昔は酷いことをする人たちがいたんだな。信じられないな」とも、思ったかもしれません。

同じ人間を「奴隷」として扱う、たしかにとても信じられない、受け入れがたいことです。しかし実は、今も私たち自身が、間接的に奴隷に依存している、つまりは間接的に「奴隷を使っている」のです。

いったい今の世の中のどこにそんな奴隷がいるというのでしょうか? どうしたら私たちは奴隷を使わないようにできるのでしょうか?

下田屋毅さんのロンドンからのレポートをお読みください。

《欧州ここだけの話》#004

「現代の奴隷労働の状況と対応」

サステイナビジョン  下田屋毅

世界の「現代の奴隷」に関する報告書である「グローバル・スレイバ
リー・インデックス2014(GSI)」が11月17日に発表されました。これ
はオーストラリアの人権NGOである「ウオーク・フリー・ファウンデー
ション(WFF)」が発表したもので、非人道的な労働環境で奴隷のよう
に働かされている人が現在も推定3580万人に上るとするものです。

奴隷はこんなところにいる

奴隷労働の実態は多岐にわたり、タイの漁船での奴隷労働、コンゴ民
主共和国のダイヤモンド鉱山の少年作業員、ウズベキスタンの綿花摘
み、インドでサッカーボールを手縫いする少女、ドレスを縫製する女性
や、カカオ農園でのカカオ取りなどがあり、これらは我々の消費に結び
ついているもので大きなビジネスとなっています。ILOの推計による
と、こうした強制労働から生まれる利益は、年間1500億ドル(約17兆7
千億円)に上ります。また世界167か国を対象に行われたこの調査で
は、少なくとも58か国で122種類の商品がこれらの人々によって製造さ
れていることも明らかになっています。

リスクの高い国は?

この報告書において、現代の奴隷労働の割合が高い国トップ10は、1.
モーリタニア(アフリカ北西部)、2.ウズベキスタン、3.ハイチ、4.カ
タール、5.インド、6.パキスタン、7.コンゴ民主共和国、8.スーダ
ン、9.シリア、10.中央アフリカとなっており、全体の約7割がこれらの
10か国で発生しているとしています。地域別で比較すると、アフリカと
中東が比較的割合が高く、その次にアジア、東欧、中南米、南米、北米
オセアニア、西欧、北欧というようになっています。

人数の多い国トップ10は、1.インド(推定1428万人)、2.中国(推
定324万人)、3.パキスタン(推定205万人)、4.ウズベキスタン(推
定120万人)、5.ロシア(推定104万人)、6.ナイジェリア(推定83万
人)、7.コンゴ民主共和国(推定76万人)、8.インドネシア(推定71
万人)、9.バングラデシュ(推定68万人)、10.タイ(推定47万人)と
なっています。日本は22位で先進国の中では順位が高く、推定23万7千
人が奴隷労働をしているとされています。

企業がすべきこと

この調査では今回から、「現代の奴隷」についての定義を変更し、従
来の「奴隷労働」の他、「借金による束縛」、「結婚の強要」、「子ど
もの売買」、「子どもからの搾取」、「人身売買」、「強制労働」など
を含むようにしています。この定義の下で、現代の奴隷労働として、劣
悪な労働環境下の労働者がいると見なされていることを事実として捉え
なければなりません。これは定義が適切かどうかという議論よりも、企
業・グループの中でその状況に当てはまる労働者がいないか、また、
外におけるサプライチェーン上において、現代奴隷労働のリスクが高い
国などがないか、その状況を確認しているかが問われている
と考えるこ
とが必要です。

政府の現代奴隷労働への対応が高い国としては、オランダ、スウェー
デン、米国、オーストラリア、スイスなどで、英国もその中に位置付け
られています。英国では、デイビッド・キャメロン首相が、「現代の奴
隷制の根絶において英国が世界をリード」することを表明し。2013年12
月に英国政府は先駆的な現代奴隷制法案の草案を発表、現在は審議中
で、法案設立に向けた最終段階に入っています。この法案は英国の大企
業に、サプライチェーン上の奴隷制を特定し、根絶するための手順の報
告を求めるものです。

国連の対応は?

また、企業が関わる人権侵害の対応のために「国連ビジネスと人権に
関する指導原則」が、2011年6月に国連人権理事会の承認を得て発行、
指導原則は「国家の人権の保護」「企業の人権の尊重」「救済」に関す
るフレームワークで、自主的なアプローチと規制の双方をうまく活用す
ることを推奨しています。世界の企業は現在この指導原則に則ってそれ
ぞれの人権プログラムを作成し機能させようとしています。人権への取
り組みが遅れている企業は、それをリスクとして考え、今後の対応を検
討する必要があります。国際的な枠組みの中で、企業は人権に関する行
動をとらなければならない時期にきているのです。

この指導原則について議論し、ステークホルダー間のエンゲージメン
トの強化やトレンド、課題、模範事例などを見つけることを目的として
いる国連の会議「第3回ビジネスと人権フォーラム」が、12月1日~3日
までジュネーブにて開催されます。私もこの会議に今年も参加する予定
としていますので、国家、企業の取り組みや、NGOや市民団体、先住民
からの声など現在の企業に関わる人権の状況を確認し、また皆さんにお
伝えできればと考えています。

初出:2014年11月27日発行 サステナブルCSRレター No.205

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