こんにちは、レスポンスアビリティの足立です。9月に迫ったISO14001の改訂について、草分けのエクスパートであるインターリスク総研の猪刈正利さんにお聞きしたポイント、後半部分をお届けします。(前半は、「ISO14001の改訂で生物多様性への取り組みが義務化!?」)
生物多様性と生態系が正式に環境の課題になったことで、それでは生物多様性について何を取り組もうかと頭を悩ませている企業や事業所の方も多いと思います。最初のステップとしては、工場の緑地を利用して、これを生物多様性に配慮したものに改善することで生物多様性の保全に取り組むという方法をご提案いただきました。
ISO14001認証は事業所(工場)単位で取得なさっているところが多いことを考えれば、これはとても現実的なアプローチだと言えます。
緑地の改善の次には何をしたらいいのか?
では、その次には何をしたらいいのでしょうか? これは今回の改訂内容でもあるサプライチェーンという言葉がヒントになります。環境管理の範囲が、事業所にとどまらず、事業のサプライチェーンあるいはバリューチェーンにも拡大するという最近の傾向を踏まえれば、生物多様性についても、多くの事業活動においてサプライチェーン上の負荷の方が大きく、問題になるからです。
実際に何を考えたらいいかは、以下の動画をご覧ください。
「サスナビ!428 猪刈正利さん (4) 改訂ISO14001で生物多様性に取り組むセカンドステップとは?」
もちろんこれはあくまでセカンドステップですので、最初から無理にここまで考える必要はないかもしれません。特に、事業所単位の場合は尚更です。
それでは、この改訂への対応はいつまでにしなくてはいけないのでしょうか? 実は2015年版へ対応する猶予は案外(?)あります。
ISO14001の真の目的は?
「サスナビ!429 猪刈正利さん (5) 21世紀型環境マネジメントのためにISO14001をどう使えばいいのか?」
これから3年間あるということですので、中味をあまり理解せずに慌てて「辻褄合わせ」をするのではなく、なぜ生物多様性なのか? 自社との関係性は何なのか? そうしたことをしっかり考えながら、改訂された枠組みへじっくりと取り組んでいただきたいと思います。
というのも、日本におけるISO14001の認証取得は、1996年に制度がスタートした後は急速に伸び、一時は日本が世界一になった時期もありました。しかし、20,000事業所を超えるとあまり伸びなくなり、最近ではむしろ微減状態です。
しかしだからと言って、ISO14001の重要性が落ちたわけではありません。世界的に見ると取得数は着実に増加しており、そのことからもISO14001が引き続き重要であることがわかります。
そもそも、ISO14001は認証を取得することが目的なのではありません。この活動を通じて、環境マネジメントが事業プロセスと統合され、両者が継続的に改善されていくことが真の目的です。
この目的から考えても、単に「生物多様性のテーマを組み込みました。以上終わり。」というのではなく、事業プロセスの改善につながるような本質的な生物多様性への取り組みをしっかり考え、それを着実に実行していくことに意味があるのではないでしょうか。
3年間の移行期間も、そのためにしっかり考えたり、分析するための時間だと捉え、自社の事業との関係性をしっかり把握した上で課題を設定していただきたいと思います。
《レスポンスアビリティから関連のお知らせ》
- とは言っても、どうしたらいいのかよくわからない。
- 自社と生物多様性の関係性をしっかり理解したい。
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そう考える方に朗報です。↓
「企業と生物多様性、正しく効果的に取り組むための一日研修」
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