
こんにちは、レスポンスアビリティの足立です。
前回の記事で、昨年来続いている値上げラッシュの原因は、円安だけではなく、原材料そのものの価格(国際価格)が高騰しているのだということをお話しました。
もちろん円安は大きな要因ではあるのですが、それでも原料価格が下がれば、その効果は帳消しされます。その良い例が、石油でしょう。原油価格は現在でも60ドルを割り込んだままです。昨年9月の110ドルに比べると、今年2月にはその半分以下にまで下がり、今なお半分強に回復したに過ぎません。
実はこの大幅な原油価格の下落に伴い、石油以外の商品(コモディティ)価格も国際的に下がっています。IMFのCommodity Price Indexを見ると、2005年を100とすると1年前の2014年春までは185ぐらいまでに上昇し続けましたが、その後下降に転じ、今年4月は145となっています。飲料は昨年夏の188ぐらいをピークにやはり下降していますが、こちらは4月にも166程度とやや高止まりです。繊維などが含まれる、非可食の農業原材料は昨年春の140がピーク、今年は127ほどに下がっています。
このように、原油価格が大幅に下落したことに伴い、農業で生産される原材料の価格も下降しているのが救いになっていますが、それでも農産物の価格はほぼ一貫して上昇を続けており、現在の水準は2005年に比べれば4割高強、2000年に比べると8割も高くなっているのです。(個別作物で見ると、もっと激しい動きをしているものもあります)
これからも原料価格が上がり続ける理由とは?
そのような中、日本国内では長らく食品飲料、繊維の価格がさして上がらなかったことがむしろ奇跡的と言ってもいいのかもしれません。もちろんその背後には、関係企業の血のにじむような努力があったとは思いますが、それももはや限界ということなのでしょう。そして、為替がこれからどうなるかは誰にも予想できませんが、農産物価格はこれからも一貫して上昇を続けるでしょう。
なぜなら、
・世界の人口はこれからも増え続けるから
・特に新興国の人口が増え、消費が拡大を続けるから
・気候変動の影響を受け、生産量が減る作物が多いから
・生産量を増やすために、新たな農場を開発するのは難しいから
・水不足の影響を受ける地域が増え、生産量が減るから
ざっと考えただけでもこれだけの理由があるのです。
一方、価格を下降させる要因としては、
・世界的な大不況による需要の大幅な減退
・革新的な技術による生産性の拡大
などが考えられますが、その実現性はあまり高くないように思います。
つまり、長期的には価格が上昇することを前提に考える方が、妥当もしくは安全に思えます。少なくとも、このトレンドを無視することはできないでしょう。
あなたも、きっとここまでは同意してくださるのではないかと思います。そうだ、その通りだ。これからも長期的には原料価格は高騰していくだろう…と。
原料価格の上昇トレンドへの準備は?
それでは、ここで質問です。
- では、あなたの会社はそれに対してどのぐらいの準備ができているでしょうか?
- そもそも、あなたの会社では、今後このように原料価格が高騰を続けるであろうという認識が関係者の間にあるでしょうか?
- そして、今後の経営計画の前提になっているでしょうか?
すべてYesと応えられればまずは安心なのですが、おそらく多くの会社で、まだ十分に準備ができていないと思います。その理由は… この問題の意味をしっかりと理解しているのは、企業の中ではCSR関連部門の方々に限られるからです。
どういうことでしょうか? ちょっとまた長くなって来ましたので、この続きは次回にお話しします。(なかなか具体的にどうしたらいいかの話に到達できずにゴメンナサイ)