こんにちは、レスポンスアビリティの足立です。中国が突然元を切り下げ、いよいよ世界中で通貨切り下げ競争が起きるのかという懸念も広がってきましたが、今のところ円ドルは大きな変化はなさそうです。
強気の米国が9月に利上げとの期待でドルは底堅いという観測もある一方で、それは既に織り込み済みなのだから… いやはや、やはり為替はわかりませんね。
しかしいずれにしろ、1~2年前に比べると120円台という円安がすっかり定着してしまったように思います。海外に行くたびに円安を痛感しますが、原材料を輸入してる企業にとってはもっと頭が痛いことでしょう。
円安を含めた原材料価格の高騰については既にいくつも記事を書きましたので、今回は少しそれとは違った視点から、円安だからこそのCSRを考えてみた話です。
短いですけれど、実は深~い話です。ぜひじっくりとお読みいただき、じっくりとお考えいただきたいと思います。これからの持続可能なビジネスのヒントが見つかるはずです。
《月の便り》
「円安だからこそのCSR」
サステナビリティプランナー 足立直樹
こんにちは、レスポンスアビリティの足立です。
今年2015年はどんな年になるのか、雑誌などで様々な予想を見かけますが、やはり気になるのは年末から急速に進んだ円安ではないでしょうか。2年半ぐらい前の80円前後に比べると120円というのは1.5倍ですから、大変な変化です。
様々な分野の商品で価格改定が続いていますが、調達戦略そのものを見直す企業も増えています。国内からの調達や国内での生産への切り換えを検討している企業もあるようです。しかし、輸入するのに比べて相対的にコストを抑えられても、絶対値ではコストアップするわけですから、それだけで抜本的な対策にはならないでしょう。
こうした厳しい環境の中でビジネスをどう継続させるか、それが様々な事業において喫緊の課題になっているように思います。
これから為替がどうなるのか予測することはできませんが、仮に今の円安が継続もしくは拡大するとしましょう(実際、そう予測しているエコノミストが多いようです)。また途上地域では、円安とは別にベースの賃金はどんどん高騰しています。世界的に見れば、超長期的には物価の平準化が進むのです。
「だからCSRどころではない」、とまさかあなた自身は考えないと思いますが、ひょっとしたらあなたの会社の中ではそういう意見も出てくるかもしれません。そんなときには、ぜひ「ちょっと待った」をかけていただきたいと思います。
だからこそCSR。その心は?
なぜなら、本当はもう「だからこそCSR」のフェーズに入っているからです。国内と海外の物価水準の差が小さくなってきたということは、その恩恵を受けてざっくりとした管理でも利益が出せる時代は終わりつつあるということです。海外でも国内でも、様々なことに配慮をしながら事業を行なわなければ利益は出せない時代になったのです。ではその「様々なことに配慮する」とは何なのか? それがCSRであり、それを一番良く理解しているのはCSRの担当者のはずです。
たとえばCSR調達がそうです。途上国だからと言って、安い労働力がいくらでも使えるわけではないのです。人権と労働安全衛生にしっかりと配慮しないところでは、生産性が上がらないし、雇用は継続しません。
原材料もそうです。限られた土地、稀少になってきた水などの資源を丁寧に効率良く使いながら高品質の原材料を作る、それが結果的にはもっとも経済的なのです。
そうしたことを理解せずに、表面的な対策をしたところで、長期的な成功はおぼつかないでしょう。CSRの視点、持続可能性を最優先に考えるとビジネスはどうあるべきか、そのことを今こそあなたの会社で広めていただきたいと思います。
一つ具体的なヒントをつけ加えるとしたら、円安の進行によってどのような現象が起きるのか? それによってどのような課題が発生するのか? それを想像すると、次に打つべき手が見えてくるはずです。
初出:2015年1月15日発行 サステナブルCSRレター No.211
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