2016年1月13日
月の便り

今年、CSRがビジネスのルールになる理由(わけ)

 こんにちは、レスポンスアビリティの足立です。

 年始にはいつも、様々なメディアが「今年一年はどうなる?」とか、「これからのビジネスで気をつけることは…」や、「今年ブレークする○○の…」のような記事を競って掲載します。これからどうなるのか、誰しも興味ありますし、それが自分たちのビジネスの成功に関係しそうであればなおさらです。

 しかし、です。業界内の流行や、一時的なホットトピックを追うだけで、本当に大丈夫なのでしょうか? もっと大きな流れを掴んでおかないと、いつの間にか… ということになってしまうのではないでしょうか。

 というわけで、常に本質的なこと、世の中の大きな流れも注視しておくことがとても大切だと思うのです。そして、そうした視点で見ると、CSRも例外ではありません。CSRだけの狭い世界で考えるべきではありません

 さらに今年特に注目していただきたいのは、「CSRがもはや狭い意味でのCSR(企業の社会的責任)ではなくなってきた」という流れです。むしろ、ビジネスのルール、ビジネスの前提条件としてCSRを理解しないと大失敗するということです。

 レスポンスアビリティでは毎週木曜日に、事業に役立つ「本物のCSR」についての情報を無料でお届けする「サステナブルCSRレター」というメールマガジンを発行しています。先週木曜日に発行した今年最初の号で、ちょうどそうしたことをご紹介しました。今年の大きなトレンド(けっしてミクロなトレンドではありません!)として、ぜひお読みください。

《月の便り》

「今年、CSRはビジネスのルールになる」

             サステナビリティプランナー 足立直樹

 新しい年が始まり、今年初めてのメールマガジンとなります。皆様もフレッシュな気持ちで新年をスタートさせていらっしゃることと思います。

 新年のご挨拶でも述べましたように、私たちが目指すべき未来や、従うべきルールの多くが、昨年までに決まりました。ですので、今年はいよいよ実行の年です。そして、新しい時代の始まりと言ってもいいのかもしれません。

 ですので、私も話し方をこれまでと少し変える必要があるかなと感じています。

 私どもはこれまで、事業に役立つ「本物のCSR」を標榜して来ました。ですから、形だけの表面的なCSR(企業の社会的責任)ではなく、事業に役立つ、そして社会課題を解決するための対応能力(response ability)を向上させることを一貫してお手伝いしてきました。

残念な日本のCSRの現実

 一方で、特に日本においては、CSRはいまだ社会貢献や慈善活動と混同されることも多く、なかなか「本物のCSR」が広がっていかないことを残念に思うことも多くあります。

 あるいは、先進的な企業においても、CSR担当部署の方が頑張れば頑張るほど、社内からは「またCSRが余計なことを始めた」と誤解を受けることもあるなどと聞くと、私自身も辛く感じます。

 そこまで酷くはなくても、「CSRのことはCSR部に任せておけ」と丸投げにされることは、多くのCSR担当者の方が経験していらっしゃるのではないでしょうか。

 これはひとえに、CSRの本当の意味が伝わっていない、誤解されているからなのだと思いますが、そうは言っても、その誤解を解くのは容易ではありません。だったらいっそのこと、もうCSRという言葉を使わなくてもいいのかなと思うのです。

ビジネスルールとしてのCSR

 それよりも、「21世紀のビジネスルール」というのはどうでしょうか? 実際、いまCSRの課題になっていることが、グローバルマーケットでビジネスを行うための実質的なルール、あるいは「前提条件」になっているからです。

 海外でCSRの議論をしているとよく、”social license tooperate(社会的操業許可)“という言葉が出てきます。社会、つまりステークホルダーが受け入れてくれなければ、どんなビジネスも続けることができないからです。

 では、ステークホルダーから受け入れられる、あるいは良く評価されるために必要なものは何かと言うと… それが、CSRの課題にしっかりと取り組むということだと思います。

事業継続の前提条件

 事業を継続するための前提条件としてCSRを考えると、自社はどのような課題に力をいれなければいけないのか、判断に迷うこともなくなるでしょう。あるいはなぜCSRを行うのか問われても、その理由を明解に答えることができるようになるでしょう。

 そして前提条件となれば、それを行うのはもちろんCSR担当部署には限りません。あらゆる業務の前提条件として、CSRの視点に基づいた配慮が必要になるのです。経営判断から日々の現場の業務まで、あらゆるところにCSRが浸透します。

 そして全社で行われる様々な活動が一つの目的につながり、自社の価値観に基づく一貫した行動を行うようになれば、自社の強みや特徴がステークホルダーに伝わりやすくなるはずです。

圧倒的なブランドを創る

 「そうか、あの会社はそういう会社なんだ」「そういうことを目指している会社なんだ」 一貫した行動があなたの会社の価値観を見事に浮かび上がらせるようになれば、それがあなたの会社に対する信頼を生み出し、またそれが圧倒的なブランドになるはずです。

 私たちがどのような将来を目指すべきか、そのためにどのようなルールにしたがって、どのような行動が求められているのか。それが明らかになった今こそ、会社を持続可能にするための課題に正面から取り組みましょう。なにしろ、それは明らかにビジネスを継続するための、会社が存続するための前提条件なのですから。

 あなたのお考えをぜひお聞かせください。
 
 
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初出:2016年1月7日発行 サステナブルCSRレター No.260
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