こんにちは、レスポンスアビリティの足立です。
サスナビ!では持続可能な原材料についての話題を
いろいろと御紹介してきましたが、今回は珍しく(笑)
食べ物ではありません。コットン(綿花)についてです。
コットンだったら、オーガニック認証かなと思われる
かもしれません。
そうですね、オーガニックコットンは代表的な認証コットンで、
タオルやベビー服などを中心に、日本でもかなり見かけるようになりました。
もしまだ実際のものを試したことがないという方は、
ぜひ一度オーガニック・コットンのタオルを手にとってみてください。
手触りがとても柔らかで、一度使うと病みつきになります(笑)。
さて、それでは今回の武末によるレポートでは、どんなコットン
が登場するのでしょうか…
《CSRファイル》#004
持続可能な原材料へのシフトが進む綿花市場
レスポンスアビリティ 武末克久
環境に関心の高い方であれば、オーガニックコットンという言葉
を耳にしたことがあると思います。オーガニックコットンとは、要
は有機栽培された綿のことです。最近は、国内でもオーガニックコ
ットンを使った製品を取り扱う専門店を有名デパートの中などで見
かけるようになりました。
それでは、オーガニックコットン以外にも持続可能性に配慮した
綿花があることをご存知ですか? それは、ベターコットンと呼ば
れる綿です。ベターコットンは、持続可能な綿花栽培の普及を目指
す農家や企業、NGOなど、300を超える団体が集まったBetter
Cotton Initiative (BCI)が定めた基準にのっとって栽培された綿で
す。
2014年7月、WWFとIKEAが共同で、このベターコットンに関
する報告書“WWF and IKEA Project Report April 2014
Cotton”を公表しました。同報告書では、WWFとIKEAがパキスタ
ンの綿花栽培農家を対象に2005年から進めてきた、ベターコット
ンを栽培するための支援プロジェクトの成果が報告されています。
報告書によると、BCIの基準に適合した方法で栽培した場合、環
境への影響を軽減し、農家の収入を向上させることができます。例
えば、パキスタンの西部の地域でベターコットンを栽培している
37,000戸の農家では、農薬で37%、化学肥料は22%、水は
21%、使用量が削減され、一方で収入は29%増加したとのことで
す。
このような持続可能性に配慮した綿花の栽培は、今後ますます重
要になると考えられます。それは、人口の増加や経済発展等で綿の
需要が拡大する一方で、開発できる農地や使える水の量がますます
限られてくるからです。
こうした状況のもとで将来的にも必要な量と質の綿を確保するた
めには、綿花の収量の効率をあげると共に、限られた水資源を効率
よく利用する必要があります。そのためには、栽培に使う水の量を
減らしたり、農薬や肥料による水質汚染を最小限に抑えなければい
けません。もちろん、貧困を解決するために農家の労働条件を改善
させたり収入を向上させる必要もあります。このことを実現させる
ために、BCIに参加する先進企業は、農家を支援することまでして
ベターコットンの普及に取り組んでいるのです。
BCIは、2020年までに世界で生産される綿の30%をベターコッ
トンにするという目標を掲げています。個別の企業では、世界最大
手のアパレルメーカーの1つであるH&Mが、2020年までに製品
に使われる綿素材をすべて持続可能なものにすると宣言し、ベター
コットンへのシフトを進めています。
日本では、紙や木材に関しては、調達方針を策定している企業が
比較的多いようですし、パーム油に関しても調達ガイドラインを公
開する企業が増えつつあるなど、持続可能性への関心が高まってい
るようです。ただし、綿花に関してはまだまだ企業の関心は低いよ
うです。
しかし、こうしている間にも、世界の綿の市場は持続可能性に配
慮したものへと着実にシフトしています。そして、実はこれは綿に
限られたことではありません。水産物やコーヒー、紅茶、カカオな
ど、日本国内ではまだあまり注目されていない原材料でも、世界の
先進企業が持続可能なものへの切り替えを進めています。
あなたの会社が使っている原材料はいかがでしょうか? あなた
が知らない間に、持続可能性に配慮した原材料へのシフトが進んで
いるかもしれません。
初出:2014年8月14日発行 サステナブルCSRレター No.190
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