2014年6月19日
生物多様性

なぜ生物多様性?

こんにちは、レスポンスアビリティの足立です。

利益を生み出す「本物のCSR」だったら、こんなに結果が違って来る。
今日もそういうお話しをしたいと思います。

さて、私はよく生物多様性についてご相談を受けます。
もともと生態学の研究者をしていたということもあり、
生物多様性のことは詳しいだろうというわけですね。

たしかにその推論はちょっと当たっています。
生物多様性は、生態学の中で重要な研究テーマであり、
私も大学院生の頃から生物多様性について勉強しましたし、
(というか、正確に言うと、私が大学院生の頃にこの概念が登場して、
 当時の学生たちはキャッチアップする必要があったのですが(笑))
また、生物多様性についての研究プロジェクトにも参加しました。

ただ、生物多様性についてだけ知りたいのなら、
現役の研究者に聞いた方が、たくさんのことをご存知だと思います。
なので、純粋に学問的な意味での生物多様性であれば、
推論は「ハズレ」かもしれません(^^;)

一方、私が専門とするのは、
企業経営と生物多様性です。

企業がなぜ生物多様性のことを考えなくてはいけないのか、
どういうところに関係性があるのか、
具体的に何をしなくてはいけないのか、
企業経営に生物多様性をどう活かすのか、
こういうことであれば、得意です。

ところがです、
「生物多様性」と聞いても、
多くのCSRご担当の方はピンと来ないようです。

なので、
社員ボランティアで植林をしたり、
里山の保全活動をしたり、
自然保護団体に寄付をしたり、
そういう活動をしていれば良いと
思っている方が多いようです。

私もそういうことの「専門家」だと
思われることもあるようです。

でも、実際にお手伝いしていることはまったく違います。

その企業と生物多様性にはどのような関係性があり、
生物多様性に関連してどのようなリスクがあるのか、
逆に、どのようなチャンスがあるのか、
をまず明らかにします。

そして、
リスクを管理するためにはどうしたらいいのか、
社内の仕組み作りや、
サプライヤーやステークホルダーとの協働の仕組みを
作ります。

こうしたことを
環境経営の目標にしたり、
管理計画に織り込んだり、
社内外に徹底するための教育・啓発を
行ないます。

実際、多くの企業において、
生物多様性は経営とかなり密接にからむ問題です。

きちんとした対応をせずに放っておけば、
事業がうまくいかなくなり、
経営リスクとなる場合も少なくありません。

なので、
生物多様性にまつわる様々なリスクを回避し、
きちんと対応することでむしろ競争優位となる。
それが、私たちが生物多様性について
お手伝いしていることです。

社会貢献とか、
そういうレベルの話ではないのです。

最近はこうしたリスクを定量化する技術も
発達して来ましたので、
具体的にどのぐらい事業上の損失となり得るのか、
なんてことも考えられるようになって来ています。

つまり、生物多様性はバリバリに経営上の課題であり、
経営判断の材料にもなる問題なのです。

これが「本物のCSR」における生物多様性です。

もちろん社会貢献的な観点での
生物多様性の保全活動も悪いわけではありません。
ぜひしていただきたいと思います。

しかし、生物多様性がなぜCSRの課題であるかを
きちんと理解をしないで、
リスクの把握や、リスクの管理をしないでいると、
大変なことになりかねない
ということです。

「本物のCSR」的な視点から見ると、
同じ課題でも、まったく違って見える
ということです。

でも、これだけではまだちょっとわかりにくいかもしれませんね。

それでは明日は、最近話題のウナギを例に、
本物のCSRだったらどう考えるかをご説明したいと思います。

それまでに、
ウナギがいよいよ絶滅危惧種に指定されたというニュースを、
あなたはどう感じたか、
ちょっと思い出しておいてくださいね。

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