巻頭言
【No.177】『自然のリズムを感じています か?』
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【No.177】 2014年05月15日
『自然のリズムを感じていますか?』
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こんにちは、レスポンスアビリティの足立です。満月がやってきましたので、これにあわせて旬の話題をお伝えしたいと思います。
と、ここまではお馴染の書き出しです。ご存知のように「サステナブルCSRレター」は、これまで足かけ7年にわたり、満月と新月に発行してきました。これは、東京などの都会で生活をしていると、月の満ち欠けという自然のリズムをすっかり忘れてしまうので、それを思い起こすきっかけになればという思いによるものです。
お蔭でいろいろな方から、「満月を楽しみにしています」とか、「月の動きが気になるようになりました」と言った言葉をいただき、嬉しく思っています。私自身も、気が付いた時にはなるべく夜空を見上げ、今日の月はどのぐらいかなと確かめています。
そうやって月を見ていると、毎日それが実に大きく変化していくことに驚かされます。たとえば、月の出は毎日50分も遅くなります。形は前日との変化はわかりにくくても、2日経つと大違いです。地球や月がものすごい勢いで動いていることを実感する瞬間です。
一方、こうした規則的な動きに加えて、季節の移り変わりというものもあります。季節というと、まず思い浮かべるのは春夏秋冬の四季でしょう。しかし、日本にはもっと多くの季節があるのをご存知でしょうか?
二十四節気とお答えいただいた方、正解です。一年を24分割した二十四節気は、四季に比べてはるかに細かな季節の変化を表現できます。
しかし実は、その二十四節気をさらに三つに細分した七十二候という暦があることをご存知でしょうか? 俳句をなさる方ならご存知かもしれませんが、一般にはあまり馴染みはないと思います。
七十二候には生きもの様子が描写されていることが多いので、私はしばらく前から興味を持っていたのですが、これがよく見てみるとなかなか面白いのです。
たとえば今日は七十二候では、蚯蚓出(みみずいずる)にあたります。ミミズが地面から出て来る頃という意味です。そして、明日からの5日間は、竹笋生(たけのこしょうず)、つまり筍が生えて来るというわけです。いずれも二十四節気では立夏なのですが、それよりも季節の動きが直接的に感じられる気がしませんか?
私は、生きものと共存できる社会、共存できるビジネスのあり方をいつも考えていますので、生きものの変化が感じられる暦にはとても魅力を感じます。そして、この素晴らしい智慧を皆さんにもぜひ共有したく思い、これからは七十二候にあわせて「サステナブルCSRレター」を発行したいと考えました。
ですが… 実際にこれにあわせて発行しようとすると、5日おきというのがちょっと微妙な間隔なのです。5日ごとに発行すると、しょっちゅう週末にかかってしまいますし、月の動きとも連動していません…いかに私たちが自然のリズムとは無関係に生活をしているのか、改めて感じた次第です(^^;)
さんざん悩んだ結果、メールマガジンの発行は毎週一度とし、その中で発行日の七十二候をご紹介することにしました。また、これまでほぼ新月とほぼ満月にお送りしていた私の「巻頭言」は、「月の便り」と改題して引き続きなるべく新月と満月にお送りしたいと思います。
発行間隔を短くすることで、よりタイムリーに役立つ情報をお届けできるようになりますので、弊社のスタッフや社外の専門方の方々に、それぞれの視点で「本物のCSR」につながる話題もご紹介いただく予定です。
これからしばらくは試行錯誤を重ねてちょうど良い「リズム」を見つけていきたいと思います。もともと「ほぼ新月」、「ほぼ満月」と緩く始めたメルマガですので,そこはご愛敬と思っていただければ幸いです。それでも、視点のシャープさと、自然のリズムや自然の法則にはこだわっていきますので、引き続きご愛読いただけますようお願いいたします。
【No.176】『種をまかなくては…』
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【No.176】 2014年04月30日
『種をまかなくては…』
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こんにちは、レスポンスアビリティの足立です。昨日29日が新月でしたので、これにあわせて旬の話題をお伝えします。
いよいよ先週末からゴールデンウィークが始まりましたが、どのように連休を過ごされているでしょうか?もしかしたらこのメールも、休暇先でお読みになっていらっしゃるかもしれませんね。そして今日ではないにしても、連休中は自然の豊かなところに出かける予定という方も多いことと思います。
かくいう私も、連休の間は東京を離れ、長野で過ごしています。春の到来が東京より一カ月ほど遅いので、ちょうどいまコブシが咲き、サクラもいよいよ満開、そして、樹々の若芽も膨らんで来たところです。わずか数週間前まではまだほとんど茶色一色だった世界が、急に鮮やかな色彩を帯びてきました。
緑の多いところに来ると、季節の変化をしっかりと感じることができます。一週間前、いえ、数日前と比べても、蕾の膨らみであったり、葉っぱの量であったり、確実に変化していることが目で見てわかります。あぁ、この植物たちも生きているんだなぁ。季節は巡っているんだなぁと実感することができます。
実はこれは、東京で暮らしていても、本当はわかるはずです。街路樹も、プランターに植えられた植物も、山の緑と同じように日々変化しているからです。数や種類が少ないので目立たないということもあるかもしれませんが、それ以上に都会にいるときは私たちの慌ただしさが、生きものの変化に気付き、それに心を動かす余裕を失っているだけなのでしょう。
植物がゆっくりと、しかし確実に成長していくのは、もちろんゆえあってです。昨年の秋に葉を落としてからも、植物の体内では様々な準備が進められ、一方、ある種の活動はじっと休眠したまま時が来るのを待ち、そしていよいよ気温が緩み、太陽の光をいっぱいに受け、地面には適度な湿り気もある。そういう条件が整ったとき、ついに蕾は膨らみ、若芽から新葉が展開するのです。
こうした植物の静かな営みを見ていると、それをひたすら粛々と進める植物の物言わぬ、しかし断固とした強い信念のようなものを感じますし(もちろん、植物が考えているわけではありませんけれど…(笑))、そしてそれを見事に開花、結実させるのは、やはりすべての必要な過程を経てのことなのだと思います。あたり前のことですが、生育の途中で得た水や栄養が、実の付き方を決めるのです。私たちの身体も、自分が食べたものだけで作られています。不自然なものを食べれば、身体に不自然な影響も出てくるでしょう。
そして、そもそも種を蒔かなくては収穫はできません。私たちも行動をしなければ、結果を出すことはできません。適切な行動をせずに、良い結果が得られるわけはないのですが… 実際には結果にだけ注目してしまい、「なぜ成果が出ないのだろう?」となっていることも多いのではないでしょうか。
つまり、あらゆるものには原因や過程があって、はじめて結果が出るということです。それは、植物の成長を見ているだけでも実感し納得できることです。しかし都会で、花屋さんから奇麗に咲いた花を買って来る生活をしていると、そんな単純なことすら忘れてしまうのかもしれません。
季節の変化を身近に感じていただけるようにと、このメールマガジンは新月と満月という自然のリズムの節目にお送りしてきましたが、これからはより季節を身近に感じていただけるようにしようと思っています。ですので、5月中頃からは発送のタイミングをもうちょっと変えようと考えています。どんな風に変わるのかはまだヒミツですが、あなたもちょっと考えてみてください。
そしてなんと言っても、これからは薫風薫る季節です。お近くでも結構ですので、ぜひ緑を見ながらゆっくりと散歩でもなさってみてください。植物をじっくりと観察すれば、きっといろいろな発見があるはずです。
【No.175】『スコープ3の真の目的は?』
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【No.175】 2014年04月15日
『スコープ3の真の目的は?』』
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こんにちは、レスポンスアビリティの足立です。また満月が巡ってきました。旬のCSRに関する話題をお届けしたいと思います。
このメールマガジンをお読みのあなたのところにも、もしかしたらCDP(カーボンディスクロージャープロジェクト)から今年の調査への回答依頼が届いているかもしれませんね。
そこで今回は、前回の巻頭言で最後に書いた「なぜスコープ3で報告するのか?」ということについてお話をしたいと思います。
言うまでもなくスコープ3とは、自社による直接的、間接的な温室効果ガスの排出に加えて、サプライチェーンにおける排出量まで含めるという範囲(スコープ)の定義です。一昔前の環境管理であれば、自社の工場やオフィスで使用する電力、ガス、油の量を測定し、それに排出係数をかければ済んでいたわけですが、通勤、出張はもちろん、サプライチェーンにおける温室効果ガスの排出量もきちんと管理しなくてはいけなくなると、たしかにこれはかなり大変です。
環境報告書のために社内の環境データをまとめるだけでも忙しいのに、これ以上手間がかかることは勘弁して欲しい。しかも、自社内だけならともかく、サプライヤーやさらにその先となると… そんな担当者の嘆きはよ〜く理解できます。たしかに大変です。
しかし、スコープ3でGHG排出量を管理することで、企業にとっても明らかなメリットがいくつもあります。
まず一つは、自社が環境マネジメントや持続可能性という重要な課題について積極的であることを機関投資家にアピールできることです。もちろんスコアが良いに越したことはありませんが、多少スコアが悪かったとしても、参加しないよりは良い印象を与えることはできます。
そしてこれがもっとも重要なことですが、サプライチェーンの中でホットスポット(もっとも排出量が多いところ)を特定することにより、どこを改善するのが効果的かがわかるということです。サプライチェーン全体の競争力を向上させたり、将来のリスク要因をつぶすために、これは大きなことです。
さらに、社内やサプライヤーの意識向上にも役立てることができます。なぜスコープ3での測定が必要なのか、また、その結果何がわかったのか。そうしたことを社内外にきちんと説明することにより、今後の改善がやりやすくなるでしょう。
こうして整理してみてわかるのは、スコープ3による報告のメリットは、その結果をどれだけ活用するかにかかっているということです。つまり、報告することが目的ではなく、報告した後のデータの活用こそが真の目的だということです。前回ちらりと書いたのは、まさにこのことなのです。
このように、目的を意識した上で取り組めば、スコープ3の報告は、労力をかけただけの、いやそれ以上の効果が期待できます。ぜひそうした意識をもって取り組んでいただければと思います。そして、具体的な進め方についてアドバイスや支援が必要な場合には、もちろん私たちがお手伝いをいたします。
【No.174】『なんのためのCSR?』
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【No.174】 2014年03月31日
『なんのためのCSR?』
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こんにちは、レスポンスアビリティの足立です。明日からいよいよ新年度ですが、新月はそれより一日早く来ました。新年度より一日早く、旬のCSRに関する話題をお届けしたいと思います。
新年度になると、CSR部や環境部に新しい担当者を迎えるという会社も多いのではないかと思います。あなたの部門にもしそのような方がいらっしゃたら、ぜひこのメールマガジンもご紹介ください。きっとお役に立つと思います。
「サステナブルCSRレター」講読お申込み
宣伝はさておき(笑)、新しく加わった方々も含めて、なんのためにCSRをしているのか、この機会にもう一度社内で確認してみるのはいかがでしょうか? というのも、これはCSRに限りませんが、言葉が普及するにつれ、その本当の目的であったり、それがどういう背景のもとで必要とされ始まったものなのか、曖昧になることがよくあるからです。
日本のCSR元年と言われたのが2003年ですが、それから既に10年以上経ちます。多くの会社で、当時CSRを担当した方はもう他の部署に異動になられているのではないかと思います。あなたの会社はどうでしょうか?
2003年頃にCSRについて勉強したり、議論していた方々は、「CSRとは何ぞや?」、「何のためにCSRをするのか?」ということを真剣に考え、そしてそれを自社にどう活かそうかと悩んで、CSRの目標やプログラムを作られたと思います。
しかし、時間が経ってくると、当初の思いや議論のことは次第に忘れられ、あまり意味を深く考えることなく、活動だけが続いている。そういう場合もあるのではないかと思います。
前回話題にしたCSVにしても、アメリカと欧州でCSRについての意識が違うことを理解していれば、そして欧州型のCSRが世界をリードしていることを認識していれば、「これからはCSRではなくCSVだ」という言説は出て来ないはずです。
そういう言説が出て来るところを見ると、やはりそろそろ原点に立ち返えること、そして現在の自社の状況を鑑みて再びCSRの目的や目標を見直すことが必要なのではないかと思うのです。
このことは、「スコープ3」や「マテリアリティの特定」についても当てはまります。スコープ3で温室効果ガスの排出量を報告したり、自社のマテリアリティをきちんと特定しなくてはいけないということに対して、負担が増えたとネガティブに捉えている方もいらっしゃるようですが、本当にそうなのか? ということです。
スコープ3もマテリアリティの特定も「報告」のためだけであれば、たしかに面倒な負担が増えたということになるかもしれません。しかし、なぜスコープ3で報告するのか、なぜマテリアリティを特定するのかという意味を理解していれば、そしてその結果を業務改善や経営判断に生かすようにすれば、非常に意義のあることになります。CSRや環境の仕事の本当の意義を社内に理解してもらうまたとないチャンスとも言えるでしょう。
目的を意識して活動するのと、やらなくてはいけないから活動する。その差はとても大きいと思います。これについて、詳しくはまた次回以降お話ししましょう。
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