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【No.183】『マテリアリティは特定できましたか?』

| 2014/06/27

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【No.183】 2014年06月27日
『マテリアリティは特定できましたか?』
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 こんにちは、レスポンスアビリティの足立です。今日の新月にあわせて旬のCSRの話題をお伝えいたします。

 6月も終わりが近づき、サステナビリティレポートがちらほら発行され始めているようですね。今年のサステナビリティレポートの見所は、なんと言っても各社がマテリアリティ、つまり自社にとって重要な課題を何と考えているかでしょう。

 CSRご担当の方はもう先刻ご承知だと思いますが、念のためにここでもう一度、背景を確認しておきましょう。ことの起こりは、日本企業も多く参照しているグローバル・レポーティング・イニシアティブ(GRI)が昨年2013年に発表したガイドラインの第4版、いわゆるG4です。

 これまで使われてきたガイドラインの第3版のG3やG3.1では、どちらかというと情報を網羅的に開示することが求められていました。しかし新しいガイドラインのG4では、報告する企業にとって重要と考えられる課題=マテリアリティについて詳しく報告することが求められているのです。メリハリの効いた報告にしましょうということです。

 ただし、です。報告側が勝手に「これが私たちが考えるマテリアリティです」と言っても恣意的になってしまうかもしれません。そのような意図はないにしても、見落としがあるかもしれません。なので同時に、なぜそれをマテリアリティだと特定したのか、その理由や、特定プロセスも報告することになっています。

 日本企業はこれまで網羅的で詳しい、つまり分厚いレポートを発行してきました。日本企業の「真面目さ」のなせる技だと思う半面、「どこの企業のレポートも似たりよったり」とか、「結局、何が大切なの?」という声も聞かれました。「これからもこのままでいいのか?」、そう悩んでいたCSR担当者の方々にとっても、G4の方針転換は福音だったのではないかと思います。

 一方で、自社のマテリアリティをどう決定するかは、なかなかの難問です。私のところにもいろいろな企業からご相談をいただきますし、マテリアリティを特定したいのでアンケートに答えて欲しいとか、インタビューさせてくれ、というご依頼をいただきます。

 なので、ご依頼をいただくと、資料を拝見しながら頭を絞って考えるのですが… 本当にこういうやり方でいいのかな、と悩んでしまうことも少なくありません。というのも、私がその会社の事業について知っていることはごく断片的なわけです。もちろん、全体像を掴みやすいようにと、その会社の方がいろいろと資料をご用意くださるのですが、資料を準備してくださった方が重要視していないことについての資料は当然含まれません。つまり、そもそも情報に選択バイアスがあるわけです。

 さらに、G4はサプライチェーン(調達網)についても情報開示することを求めていますが、サプライチェーンにおける影響まで考えるとなると、圧倒的に情報が不足しています。「そこをなんとかするのが専門家だろう」と怒られそうですが、一般的な議論や推論はできても、その会社の固有の事情まではわかりません。これはどんなに博識な専門家や有識者を集めたところで、同じことです。

 では、一体どうしたらいいのでしょうか? 少なくとも環境面については、一つかなり有効で確実な方法があります。環境影響を定量化すればいいのです。サプライチェーン全体にわたって定量化すれば理想的です。気候変動への影響と生物多様性への影響のように、性質がかなり異なるものもありますが、統合評価をすることで比較可能になります。

 それでマテリアリティがきちんと特定できるのか? と疑問に思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、実際にやってみるとかなり明確な傾向がわかりますし、定性的な推論をするだけよりはるかに説得力があります。

 なので、こうした手法や、先進企業がこれをどう活用しているかについて、もっと多くの企業の方に知っていただきたい思い、7月末にこれについてのセミナーを開催することにしました。ご興味のある方は、以下のお知らせをご覧ください。

 GRIは、GRIのガイドラインを参照する企業に対して、2015年までにはG4に切り替えるように求めています。今年、そして来年には、マテリアリティを的確に特定した素晴らしいレポートが、日本からもたくさん発行されることを楽しみにしています。