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【No.179】『サプライチェーンにはこんなにリスクがあった!』

| 2014/05/29

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【No.179】 2014年05月29日
『サプライチェーンにはこんなにリスクがあった!』
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 こんにちは、レスポンスアビリティの足立です。新月にあわせて旬のCSRの話題をお伝えいたします。

 今年最初にお話ししたように、2012年は生物多様性にとって重要な年になりそうです。10月に韓国の平昌(ピョンチャン)で生物多様性条約のCOP12が開催されるからです。

 この重要な場で何が議論されるかもだんだん整理されつつありますが、企業に関連しては、原材料調達やその基準が大きなテーマになりそうです。また今回は、2020年に向けた「愛知目標」の進捗状況の中間報告がなされることになっていますので、世界中の先進企業が各社の進捗状況や思い切った目標を次々に発表することでしょう。

 その結果、始まることを予想すると… 生態系や生物多様性に対する影響(負荷)をこれ以上増やさないようにして、正真正銘の持続可能なビジネスモデルを確立する。その目標にどれだけ本気でコミットしているのか、肉薄しつつあるのか、この点がこれからの「良い企業」のクライテリアになるでしょう。

 機関投資家もそうした観点から投資先を評価・選別するでしょうし、何よりも、そうしたビジネスモデルを確立しないことには、ビジネスそのものが続かなくなることが見えて来たからです。

 例えば、この半年ぐらいの間に、原材料を持続可能なものに切り替えると宣言する企業がアメリカで増えてきています。こうした目標を掲げる企業は今までは欧州中心だったのが、その流れがアメリカにも波及し始めたのです。

 その背景には、アメリカでNGOがこの問題について企業を激しく攻撃し始めたこともありますが、企業経営者も「原材料の調達を持続可能にしないことには、ビジネスの継続はあり得ない」と発言しはじめており、かなり意識が変わってきたことがわかります。

 なぜこのような意識変革が急速に進んでいるのか、原因はいろいろあるのだと思いますが、おそらく一つには、自社のサプライチェーンを遡ってみたらがく然としたということがあるのではないでしょうか。

 つまり、自社内だけで環境の取組みを進めるのではなく、サプライチェーンを遡ってみたら、そこには自分たち自身の何倍もの環境負荷=環境リスクが存在していることに気付いたのでしょう。サプライチェーンでつながっていますので、それはサプライヤーのリスクというだけではなく、自分たちにとってのリスクなのです。

 これは、自社内だけでいくら努力を続けても、サプライヤーにも同じように頑張ってもらわなくては、ある日突然、事業が継続できなくなるかもしれないということです。

 日本企業は、自社内では環境負荷を減らすことにとても真剣に取り組んでいると思います。しかし、それだけでは自社の持続可能性は保証されないのです。

 では、私たちの事業活動がどのぐらい生態系と生物多様性に、つまり、自然資本に負荷を与えているのか? そのことに答えてくれるレポート『リスクにさらされている自然資本』が、昨年発行されています。もしこうした負荷を内部化したとすれば、世界の経済活動の1割以上にあたる7.3兆ドルがかかる、つまり、利益のかなりの部分が吹っ飛ぶという恐ろしい事実が報告されています。このことを知った企業人は当然、今までのやり方ではマズイと思うでしょう。

 既に英語でこのレポートをお読みになった方もいらっしゃるかもしれませんが、私たちはこの度、このレポートの日本語概要版の監訳を行い、また、来週から配布を開始いたします(http://www.responseability.jp/pj/ncr)。この機会にぜひ日本語でお読みください。きっと驚く発見があるはずです。そして、これを読めばなぜCOP12でこのことが大きな議題になるのかも理解できるでしょうし、その結果を待たずに自社の取組みも始めたくなるでしょう。