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 このコーナーは、弊社の代表足立が「志」のソーシャル・ビジネス・マガジン「オルタナ」が発行するCSR担当者とCSR経営者のためのニュースレター「CSR monthly」に連載している「自然資本としての生物多様性」を転載したものです。自然資本とは何か?なぜ企業が自然資本を意識した経営をすべきかについて、わかりやすく解説いたします。原則として、毎週月曜日に記事を追加しています。「CSR monthly」にご興味がおありの方は、こちらをご覧ください。
 

自然資本「超」入門

#22: これからの報告書に「自然資本」は必須 !?

 
 前回は、サプライチェーン全体でどこにホットスポットがあるかを把握することは、どこにリスクが存在するかを知る上で、またサプライチェーン全体で持続可能性を向上させるために重要であることを説明した。
 
 日本では多くの企業が、熱心に環境管理に取り組んできた。 ただし、これまでの企業の環境管理はあくまで社内だけが対象であった。
 
 ところが、この「Natural Capital at Risk」(リスクにさらされている自然資本)でも明らかになったように、環境負荷はサプライチェーンの上流側で大きいことが多い。だが、川下の大企業は環境管理を行って報告もしているが、上流の情報はなかなか伝わってこないのが現実だ。
 
 しかし、川下企業が持続し続けるためには、サプライチェーン全体が機能しなくてはならない。そう考えると、環境管理やその報告を社内だけで済ませているのはあまりに心許ない状態だと言えるだろう。サプライチェーン全体にわたって環境負荷を測定し管理することは、それが倫理的であるとか、責任であるという以上に、その企業自身の存続のためにも重要なことなのだ。
 
 また、これはその企業に投融資を考える投資家や金融機関にとっても同様に大きな問題=リスクである。サプライチェーン上にある大きな環境負荷を見過ごしていたばかりに、投資したり融資した事業がうまく行かなくなったり、最悪の場合、破綻してしまえば、投融資したお金は回収できなくなってしまう。投資家としてはもっとも避けたい事態であろう。
 
 だからこそ賢明で慎重な投資家は、企業に対してサプライ チェーン全体における環境負荷=環境リスクの開示を求めるように迫っているのである。以前書いたように、CDPが温室効果ガスの排出量や水利用の状況をサプライチェーン全体で報告 するように企業に求めるのは、まさにこのためである。
 
 
統合報告書にどう応用するか
 
 サプライチェーン全体で自然資本への負荷を測定することは、いま話題の統合報告にもすぐに応用可能である。
 
 国際統合報告評議会(IIRC)が昨年 12 月に公表した国際統 合報告(< IR >)フレームワークでは、測定方法こそ特定していないが、金融資本や人的資本などと同様に、企業活動に欠かせない資本として、自然資本についても報告することを求めている。企業がどのような資本をどのぐらい使い、企業活動の結果、その資本がどのぐらい増えたのか減ったのかという情報は、その企業がどのぐらい効率良く事業を行っているのか、持 続可能性があるのか、そうしたことを投資家が判断するのに役立つからだ。
 
 応用は統合報告にとどまらない。2013 年 5 月にグローバル・レポーティング・イニシアティブ (GRI) が発表したサステナビリティ・ガイドラインの第4版、いわゆるG4にも利用可能なのだ。
 
 G4では、ガイドラインに示されたすべての項目を網羅的に報告するのではなく、その企業にとって重要と考えられる、すなわちマテリアルな項目について詳しく報告することが求められている。また、サプライチェーンにおける影響についても報告することが求められている。
 
 環境側面について言えば、自社だけではなく、なるべく広い範囲で環境影響の大きさを測定し、影響が大きいものをマテリアルとすることは説得力があるのではないだろうか。
 
 サプライチェーン全体において自然資本に与えている影響を定量的に測定することができれば、マテリアリティの特定は問題ないだろう。そもそも、なぜ GRI がサプライチェーンにお ける影響を報告することや、マテリアリティを特定し、それについて詳細に報告することを求めたのかと考えれば、これはTEEBビジネス連合(TEEB4BC)とほとんど同じ発想だっ たのではないだろうか。そして実は、IIRC、GRI、TEEB4BCの理事はかなり重なっているのである。
 
 以上のことから、自然資本リスクの分布をサプライチェーン全体にわたって分析することは、近い将来、報告書作りには必須になるに違いないと私は予測している。
 
※「Natural Capital at Risk」の日本語概要を無料プレゼントいたします。ご希望の方は以下のURLからお申し込みください。

http://www.responseability.jp/pj/ncr
 
 

自然資本「超」入門

(初出 2014年7月7日)