Response Ability Inc. Response Ability, Inc.

         

メールマガジン
サステナブル経営通信

サスナビ! (代表ブログ)

サステナ・ラボ(旧ブログ)

巻頭言集
自然資本を測る
サステナ・ラボ
CSR monthly

問い合わせ・資料請求

■最新の記事



このコーナーは、弊社の代表足立が「志」のソーシャル・ビジネス・マガジン「オルタナ」が発行するCSR担当者とCSR経営者のためのニュースレター「CSR monthly」に連載している「自然資本としての生物多様性」を転載したものです。
自然資本とは何か? なぜ企業が自然資本を意識した経営をすべきかについて、わかりやすく解説いたします。
原則として、毎週月曜日に記事を追加しています。
「CSR monthly」にご興味がおありの方は、こちらをご覧ください。

 

自然資本「超」入門

#18: 急速に普及する「自然資本会計」

 
 去る2月17日に環境省などの主催で「自然資本と企業・自治体経営」という国際シンポジウムが東京で開かれた。環境省が「自然資本」というテーマでシンポジウムなどを開催したのは、おそらくこれが初めてなのではないだろうか。
 
 かなり専門的なテーマであったにもかかわらず、企業を中心に300人近い参加者があったことから、日本企業の間でも急速に関心が高まっていることが想像される。読者の中にも、参加されたという方がいらっしゃるに違いない。
 
 しかし、海外での関心の高まりは、日本の比ではない。例えば、このシンポジウムでも報告されたが、昨年11月にイギリスのエジンバラで開催された世界自然資本フォーラム(※1) には世界中から500人もの参加者があり、この課題について継続的に世界的に情報交換をする必要性があることについてその場で合意され、2年後の同じ時期に再びエジンバラに集まることが決まったそうだ。
 
 さらに注目したいのは、自然資本を名前に冠する団体やイニシアティブが次々に立ち上がっていることである。例えば、TEEBの考え方をビジネスに応用し、ビジネスを持続可能に変革しようということで始まったTEEBビジネス連合(TEEBforBusinessCoalition) は昨年末に自然資本連合 (NaturalCapitalCoalition) に改名した(※2)。
 
 それ以外の団体やプログラムについては、まずは「naturalcapital」という言葉をGoogleなどで検索してみてもらいたい。とてもここでそのすべてを紹介することはできないほどで、きわめて多くの団体やプログラムが出来ていることが分かるだろう。
 
 
米国企業も欧州に追随
 
 この2年ぐらいの間に急速に自然資本に企業人の関心が高まった背景としては、「自然資本」が今や単なる概念ではなく、なんらかの形で測定可能になってきており、それを国家会計や企業会計に盛り込む動きが出てきたからであろう。
 
 このアプローチを自然資本会計(naturalcapital accounting)と呼ぶが、最近ではNCAという略語で通じるほどに、関係者の間では一般化している。
 
 実際、今回の環境省などの主催するシンポジウムでも、話題はNCAの仕組みの開発状況や、それを企業経営などにどう活かすかということが中心だった。
 
 もちろん自然資本はかなり広い概念であるし、網羅的に正確に計測することは容易ではない。しかし、例えば国連などがこれまで長い間研究してきた環境経済会計は、再生可能と再生不可能の両方の自然資本をどう計測するか、金額換算するかなどについて一定の合意を得て、フレームワークを発表している。
 
 また、複数の企業や団体は、企業がNCAを経営に活かせるよう、自然資本はもちろん、社会資本や人的資本についても計測する方法を開発し、それを試行する企業の数もますます増えている。
 
 いくつかの国では、行政もそれを支援している。例えば、つい最近、デンマーク環境保護局が、デンマークに本社を持つグローバル製薬企業であるノボ・ノルディスク社の環境損益計算社 (EP&L) の作成を財政的に全面バックアップし、その内容を公表させた。
 
 また、こうした動きはこれまではどちらかというと欧州主導であったが、2月に正式に発足した「自然資本ビジネス・ハブ」(※3)には、むしろ米国企業の事例が多く登録されており、いよいよこの動きが真にグローバルな動きになりつつあることを感じさせる。
 
 前述のように日本でも企業からの関心が高まりつつあるのだが、自然資本について積極的に発言する企業経営者はまだまだ限られているし、自然資本会計となると、活用しているところはまだほとんどないと言っていいだろう。自然資本について概念を勉強するだけでなく、それを実際に経営に生かす準備をぜひ始めていただきたい。
 
 
※1世界自然資本フォーラム http://www.naturalcapitalforum.com/
※2自然資本連合 http://www.naturalcapitalcoalition.org/
※3自然資本ビジネス・ハブ    http://www.naturalcapitalhub.org/
 
 
(初出 2014年3月5日)

自然資本「超」入門