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このコーナーは、弊社の代表足立が「志」のソーシャル・ビジネス・マガジン「オルタナ」が発行するCSR担当者とCSR経営者のためのニュースレター「CSR monthly」に連載している「自然資本としての生物多様性」を転載したものです。
自然資本とは何か? なぜ企業が自然資本を意識した経営をすべきかについて、わかりやすく解説いたします。
原則として、毎週月曜日に記事を追加しています。
「CSR monthly」にご興味がおありの方は、こちらをご覧ください。

 

自然資本「超」入門

#06: すべてのサービスを支える「基盤サービス」

 
 これまで3回にわたって、3つの異なる性質の生態系サービス、すなわち、供給サービス、調整サービス、文化サービスについて、それぞれがビジネスにどう役立っているのかという観点から説明してきた。
 
 実はふだん企業の方に生態系サービスのことをお話しするのはここまでなのだが、CSRmonthlyの読者の皆さんには、もう一つとても重要な生態系サービスについてもお話をしよう。それは、「基盤サービス」(Supporting Services)と呼ばれるものだ。
 
 このサービスがこれまでに説明した3つのサービスと大きく異なるのは、3つのサービスはいずれも企業活動あるいは人間活動に直接的に役立つが、基盤サービスはこれらのサービスを支える「基盤」であり、企業や人間に直接的に役立っているわけではないということだ。したがって、ビジネスとの関係性が直接的には見えにくく、私も時間が限られている時にはどうしても基盤サービスについては説明を割愛してしまう。
 
 しかし、だからと言って基盤サービスが重要でないわけではない。むしろ、逆だ。その名前が示すとおり、基盤サービスは他のあらゆる生態系サービスを支える基盤であり、これが機能しなくては私たちが直接的に依存している他の生態系サービスが利用できなくなってしまう。
 
 
基盤サービスは生態系の仕組み
 
 さて、その具体的な内容であるが、一次生産、栄養塩の循環、水循環、土壌形成などが含まれる。いずれもあまり馴染みのない学術用語だが、実はこれらこそが、地球というこの閉じられた空間の中で生物が生きていく仕組みそのものだ。もう少し詳しく見ていこう。まず一次生産だが、要は光合成のことだ。生態系では、植物が太陽光をエネルギー源に水と二酸化炭素を使って炭水化物を合成している。この炭水化物が、光合成を行う植物自身やそれを食べる草食動物の身体を構成する要素(有機物)となっている。草食動物を餌にする肉食動物も、植物が作った炭水化物、さらにはそれを元に作られたタンパク質などに依存しているので、間接的には光合成に依存しているといえる。
 
 実は生態系の中でも、このプロセスだけが無機物から有機物を作りだすものなので、一次生産もしくは基礎生産と呼ばれている。すなわち、地球上のあらゆる生命現象は一次生産に由来するエネルギーと物質を使って行われており、一次生産が行わなければ、生命現象は止まってしまう。つまり、生態系サービスも使えなくなってしまうのだ。
 
 そして、一次生産で得られたものを使って、植物は成長し、花を咲かせ、実をつけ、子孫を増やしていく。草食動物は、植物の身体自体を、あるいは花の蜜や、実を食べ、植物が生産したエネルギーと物質を、自分の血や肉としていく。さらに肉食動物は、その草食動物の身体を食べて、成長し、子孫を残す。
 
 こうして地球の上では命がリレーされていくのだが、要は一次生産で作られた物質とエネルギーが、異なる生物を介して循環していくということである。
 
 もちろんすべての生命に死は訪れるし、そもそも地球は有限である。生命としての機能を終えた身体は、微生物などによって無機物に分解される。そしてその無機物は、再び植物が光合成を行うときの栄養となり、新たな循環が始まるのである。
 
 植物が必要とする栄養は、おもに窒素やリン、カリウムなどである。美しい花や大きな実が育つようにと私たちは植物に肥料を与えるが、もともと自然界ではこうした栄養は生態系の中で循環するようになっている。植物が取り込んだ無機体の栄養塩は、タンパク質や脂質という有機物を構成し、食物連鎖の中で伝えられていく。そして、再びそれが分解され、また次のサイクルを廻すためにリサイクルされる。
 
 これが栄養塩の循環で、つまり、光合成を起点にした食物連載の中で、エネルギーと一緒に栄養塩も生物から生物へと引き継がれ、循環しているのだ。紙幅も尽きてきたので、水循環や土壌形成については次回説明することにしたい。
 
 
(初出 2013年3月5日)

自然資本「超」入門