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2021年 新春のご挨拶

おしらせ | 2021/01/01

明けましておめでとうございます。

健康で無事に新年を迎えられたことを、いつも以上に有り難く感じるお正月となりました。

言うまでもなく、昨年は世界中のあらゆる人が、組織が、大きな試練を受ける年となりました。今なおその困難な状況は続いていますが、少しでも早く、私たち全員がこの困難な状況を良い形で乗り越えることができること願っています。

しかし、この想像もしなかった出来事のために、私たちはいくつもの重要なことを思い出したり、再確認することもできたように思います。

まず一つは、生物多様性や生態系の破壊が、今回のようなパンデミックの間接的な原因にもなっており、私たちはより真剣に自然と共存することを目指さなくてはいけないということです。この考えは、今年開催される予定の生物多様性条約COP15や、気候変動枠組条約COP26において、具体的な目標や計画として示されることになるでしょう。

そして、私たち自身の価値感や生活のあり方も問い直されました。自分は何を大切に考えるのか、優先するのか、ということです。もちろん、多くの方々が健康や命、そして家族や親しい友人こそがもっとも大切であるということを切実に感じ、その価値感に即した生活を取り戻そうと考え、実際に行動を起こした方も少なくないようです。

したがって、コロナの後はそのまま元の生活や社会に戻るのではなく、より良い生活や社会にしようというBuild Back BetterやGreen Recoveryという考え方がいくつもの国で提唱され、動き始めています。

日本でも大都市から離れ、郊外や、場合によってはかなり遠い地域に移住したり、二拠点で仕事をするようなライフスタイルへのシフトも加速しています。今ある技術が、それを可能にするのに十分だったことは大変幸運なことでした。

けれど私は、これは単にのんびりした生活に戻る、安全な田舎に引っ込むということではないと思います。自然の豊かな場所で空間的にも余裕のある暮しをすることで、価値感がさらに変化することや、そこから新しいものが次々に創造されるようになることを期待したいと思います。

技術的にはオンラインで世界中どことでも自由につながり、同じ瞬間を共有しながら、実際の生活では等身大の暮しを大切にすることが、同時に、自然に、行なわれるのではないかと思うのです。地域や足元のリアリティを重視することが、多様で創造的な暮しと文化を発展させる。そうした動きがコロナをきっかけに始まっているのではないかと思います。21世紀版のルネッサンスです。

私自身も昨年は一年間、ほとんど京都に籠っていました。海外出張も1月の一度だけで、国内も含めて、移動距離は例年より2桁以上少なかったと思います。けれどもその中で幸いであったのは、京都市の次期生物多様性プラン(※)の策定に参画できたことです。

京都の多様で素晴らしい伝統文化はほとんどすべてと言ってもいいぐらいに生物多様性に支えられており、生物多様性が失われれば文化もそのまま失われてしまいます。そのことを強調し、そうならないための実効性のあるプランをまとめることが出来たことは、自分の身の回りにある生活・文化を尊重するために若干ですが貢献が出来たと自負しています。

もちろんまだやらなくてはいけないことが山積みではあるのですが、グローバルなネットワークに支えられた広い視野を持ちながら、自分が存立する足元にこだわった仕事を、今年も続けていきたいと考えています。

間違いなく、私たちは時代の大きな曲がり角に立っています。その先により良い世界が展望できるよう、今年もご一緒に良い仕事をして参りましょう。

この一年が素晴らしいものになることを、心からお祈りしています。

2021年 辛丑 新春

サステナブルブランド・プロデューサー
足立直樹足立直樹

京都市生物多様性プラン(2021-2030)は現在、市民意見募集中です