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2012年 新春のご挨拶

おしらせ | 2012/01/01

 2012年、新しい年が明けました。レスポンスアビリティの足立です。
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

 昨年一年をふりかえり、また今年は何を目指すのかをお話しして、新
春のご挨拶とさせていただきたいと思います。

 今さら繰り返すまでもなく、昨年2011年は大変な試練の年でした。3
月11日の東日本大震災で非常に多くの命と生活が失われました。また、
東京電力の福島第一原子力発電所の事故は、収束にはほど遠い状態であ
り、その被害は今後さらに広がることを覚悟しなければならないでしょ
う。そうしたことを考えると、新年になったといって、とても浮かれた
気分にはなれません。むしろ、2012年という1年をどうするかに私たち
の将来がかかっていることを肝に命じて、困難な課題に真正面から挑戦
する年にしなくてはならないと思います。

 昨年の年賀状では、生物多様性条約のCOP10で示された、「2020年
までに持続可能な生産と消費へとシフトする」という目標に向けて、私
たちは最初の一歩を踏み出そうと提言いたしました。欧州のグローバル
企業の中には、この目標に向けて具体的な活動を始めたところもいくつ
かあります。ところが、残念ながら日本ではその動きはまだ非常に弱い
ようです。一つには、3月の大震災などの影響もあるのでしょう。しか
し、大震災も原発事故も、持続可能なやり方へシフトすることがますま
す重要であり、しかも急を要するものであることを教えてくれたはずで
す。

 真に持続可能な社会や組織が、今までのやり方の延長上にはないこと
は明らかです。改善を積み重ねるのではなく、持続可能性の原理にした
がって、やり方を根本的に変えることが必要です。それにあたって、私
は生物に学ぶという考え方が役に立つと確信しています。なにしろ生物
は、38億年という気が遠くなるほど長い時間を生き延びてきたのですか
ら。

 生物に学ぶことの重要性は一昨年に出した『生物多様性経営 ―持続
可能な資源戦略―』の中でも述べましたが、生物を真似ることで問題を
解決する、いわゆるバイオミミクリ(生物模倣)という考えを世に広め
た一人に、ジャニン・ベニスさんがいます。昨年3月にはモンタナ州ミ
ズーラに彼女を訪問し、その結果、10月には滋賀県近江八幡市にジャニ
ンさんもお招きしてAsk Nature Japanがスタートしました。その立ち
上げに部分的ながら参加できたのはとても光栄ですし、「自然に学ぶ」
を企業経営の中に生かしていくことに、私自身も今後さらに力を入れる
つもりです。

 Ask Nature Japan http://asknature.jp/

 実はミズーラ訪問の帰路に私は3.11の大震災にあい、成田には着陸で
きず、そのまましばらく近江八幡市に避難しました。その間に自分がこ
れからなすべきことを真剣に考え、そしてやはり、「自然に学ぶ」とい
う考え方を活かして持続可能な社会や組織を作ることを続けたいという
結論に達しました。しかし、そのやり方や舞台は、これまでと同じもの
に拘る必要はないだろうと考えるようになりました。出来るところで、
なるべく速やかに行おうと思います。

 なぜなら、私たちは既に限界に到達しつつあるからです。グズグズし
ている時間はありません。そして、今回の震災を通じて、周りのことな
ど気にしていないでもっと本音で生きよ、そう教えられたように思うの
です。もっと自分の頭で考えればいいし、いろんなやり方があってもい
いではないか。そんな思いを込めて、8月には『もう空気は読まなくて
いい ~ポスト3・11を生き抜くために~』(http://amzn.to/v8w81l)を
上梓いたしました。私たちは空気ではなく、もっと時代の風を読むべき
でしょう。

 私どものレスポンスアビリティは、「2025年を創る会社」をコポレー
トメッセージ
にしています。
これまでの持続不可能な経済と社会に別れを告げて、2025年の持続可能
な社会に向けて、その社会を構成する企業を支援することが私たちの仕
事です。その際に常に大切にしていることは、本質的な問題に、本気
で、そして正直に取り組むことです。今年はこれまで以上に本音で生き
ていこう、そう宣言してこの年をスタートしたいと思います。

 長い挨拶を最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 どうかこの一年が、私たちすべてにとって安らかで、そして実り多き
ものとなりますことを心からお祈りいたします。

        

                       2012年新春

                          代表取締役 足立直樹